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2024年5月9日(木)

主張

ガザ・ラファ危機

イスラエルの攻撃止め停戦を

 イスラエルのネタニヤフ政権は、ガザ南部ラファへの新たな攻撃を始めました。関係当事者による停戦交渉が大詰めを迎え、イスラム組織ハマスが6日に受け入れを表明する下での強行であり、許されません。

 ネタニヤフ政権は自国の要求から程遠いと停戦に応じておらず、交渉妥結へのガザ住民の期待は新たな恐怖に変わり、世界には懸念と非難が広がっています。

 「ラファへの全面攻撃は人道的破局となる」「イスラエルは(攻撃の)拡大ではなく外交交渉に建設的に関与すべきだ」(グテレス国連事務総長)。この声を圧倒的に強め、停戦、全人質の解放、地域の安定を実現する各国政府と市民の行動を集中するときです。

■世界の世論と運動

 イスラエルはラファの住民に「安全地帯」への移動を命じましたが、「ガザのどこも安全ではない」(国連の援助機関)のが実態です。占領と封鎖の下で、住民の多くは北部などから攻撃を逃れてきた人たちです。イスラエルはさらに人道物資の搬入も妨害し、国連職員にも銃口を向け全裸検査をするなど国際人道法の蹂躙(じゅうりん)を続けています。

 昨年10月7日の戦闘からガザでは3万5千人近くが殺されました。ラファで避難生活を送る60万人超の子どもも攻撃による負傷、病気、障害、飢餓に苦しんでいます。イスラエル支持の米国のバイデン大統領でさえ、ラファ全面攻撃には賛成できないと表明し、同国への弾薬供与を一部停止したとも報じられています。

 ジェノサイド(集団殺害)状況は深刻ですが、米政権の変化や、ガザ和平に向けたこの間の集中的な外交活動は世界の世論と運動の高まりによるものです。

 欧米では、イスラエルへの抗議が各地の大学に広がっています。抗議を受け、イスラエル企業やガザ紛争で利益をあげる軍需産業への投資停止を検討する大学も出ています。秋に再選をめざすバイデン大統領への新たな圧力です。

 イスラエルでもハマスが拘束している人質の家族をはじめ多くの市民が、政府に停戦を求め行動に参加しています。同国の諜報(ちょうほう)機関の元長官からも、軍事行動をやめ交渉を、パレスチナ人国家の樹立とイスラエルとの共存が安全保障には必要だとの声があがっています(「朝日」8日付)。

■日本の若者も行動

 日本でも市民らが粘り強く声をあげています。都内の大学で1日に行われた集会でマイクを握った学生は、「私たちが行動しないと現状の黙認になる。私たちには力がある。自由のために行動を」「国連で日本は、イスラエルへの武器輸出停止を求める決議に棄権した。イスラエルの軍事企業から攻撃ドローンを輸入し、武器も輸出しようとしている。ジェノサイドに私たちの政府も加担している」と訴えました。

 攻撃ドローン導入については日本共産党も国会質問で、許されないと政府に迫りました。イスラエルとの経済連携協定の交渉についても、「締結すれば国際法違反の追認になる」と批判し交渉中止を求めました。日本政府は、イスラエルはもちろん米国に対しても即時停戦をより強く求め、パレスチナ問題の公正な解決にとりくむべきです。


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